光の景色

2017年05月06日

 

乗るはずの飛行機に雷が落ちて、帰国が延びた4月20日、ニース・コート・ダジュール空港を飛び立ってまもなく、眼下にアンティーブ、ジュアン・レ・パン、サント・マルグリット島、カンヌの美しい夜景が見えてきた。

この極めて稀なアクシデントのおかげで、30年来の友人A君が入院する病院にもう一度お見舞いにゆくことができた。

点滴を受けて、子供のようにスヤスヤと眠る優しい顔。しばらく彼と心のなかで言葉を交わし、「じゃあ又!」と病院を後にして空港に向かった。

飛行機の窓越しに広がる、美し過ぎて、哀し過ぎる光の景色。彼と出会ってからの30年間をゆっくりと想い出してみた。

日本に帰り着き、日常の生活のなかに戻ったその日に、彼が永遠の眠りについたとの連絡を受けた。

A君 享年56歳。あらためて、この哀しみは誰にも伝えることはできないのだと、自分に言い聞かせた。


 


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